本好きの元バンドマン

本を読んでいて思いがけず出会えた面白い話や雑学、有名人の伝説などを紹介しています。

ロンドンの街からタバコのポイ捨てがなくなった理由

「サクッとわかるビジネス教養 行動経済学

著者:阿部誠

発売:2021年

 

スーパーのレジ前に並べられた電池など、私たちは行動経済学マーケティングによって無意識に動かされています。

 

「満足度90%」と「10人に1人は満足できない」は同じ意味ですが、印象は大きく変わります。

これ、行動経済学で説明できます。

 

うな重

メニューが竹(4000円)と梅(3000円)の2択なら、注文は半々に分かれます。

しかし、そこに松(5000円)が加わると、竹(4000円)の注文が増え、結果全体の売り上げがアップする傾向にあるそうです。

これも行動系経済学で説明できます。

 

私たちの身の回りに仕掛けられた数々の企業戦略。

本書を読めば、普段の生活の中でそれに気づけるようになるかもしれません。

さらにそれを理解できるようになれば、無駄なく効率的に経済活動ができるかもしれない、そんなことを考えながら本書を読んでいました。

 

そんな本書からのこぼれ話はこちら。

 

タバコの吸い殻ゴミに悩まされていたロンドンの街。

その解決策としてNPO団体が投票箱にした灰皿を街中に用意しました。

 

チェルシーリヴァプール、あなたはどちらのチームが好き?」など。

 

すると吸い殻ゴミを灰皿に入れる形で投票に参加する人が現れ始め、それを見た人がまた次から次へと灰皿へ。

数日経った頃には、吸い殻ゴミはすっかり無くなったそうです。

 

行動経済学的に言えば、これは同調効果を利用したもの。

ポイ捨ては、みんなやってるから問題ないと、熟慮した選択を怠った結果。

これはそれを逆に利用した、とんちの効いた対策ですね。

 

「実に面白い」。

 

最後はなぜかガリレオの湯川になってしまいました。

福山の真似でみなさんもどうぞ。

 

さて、インスタントコーヒーでも淹れますか。

 

 


 

仏像はなぜ薄目なのか!?

 

「怒るヒント」

著者:ひろさちや

発売:2011年

 

日本人は怒らない。

怒ったとしても、宗教じゃなく道徳で怒るからたちが悪い。

 

道徳というのは目上の人が目下の人を縛るものだ、そう本書では紹介されています。

 

例えば……

学校では、子どもに対して「怒るな!」と先生が子どもに怒っている。

なんじゃそりゃ。

 

これは会社の上司部下の関係でも当てはまる例は多く、要は日本社会は怒る権利を持っている人間とそうじゃない人間に分けている、というんですね。

 

一方アメリカでは、上は怒っていいけど下は怒っちゃだめなんて発想はない。

 

マグナカルタフランス革命など、日本人も世界の国々のようにもっと怒っていいんだよと。

本書ではそういうメッセージをわりとポップに書いていて、結構ライトに読める新書だと思いました。

 

そんな一冊にもありましたよ、こぼれ話。

 

仏像はなぜ薄目なのか?

 

確かに、仏像や仏画に描かれる仏さまって、目を見開いていないです。

言われてみれば目を見開いている仏さまって、見たことないかも。

 

これは、あきらめることの大切さを表現しているそうなんです。

 

例えば、昼間の明るい太陽の下なら、どんな美人の肌でも汚く見えるかもしれません。

でも、夜などぼんやりした状況だとあらが目立たず綺麗に見えるはずです。

 

要するに、人の欠点を見ることなく、薄らぼんやり見ることがあきらめることであるとか。

あきらめるを、明らめると書けば、人の欠点を見ないことは、物事を明らめること、物事を明らかにすること、こうなるわけです。

 

すべてを見る必要なんてないんですね。

全部知る必要なんてない。

それが真理ではないかと、そういうこと。

 

「結婚前には両目を大きく開いて見よ。結婚してからは片目を閉じよ」という結婚式で使われる定番スピーチがあるそうです。

少しくらい難点は許してあげようってことですね。

 

人間、そのくらいがちょうどいいんだと思います。

仏さまはそれをいつも私たちに教えてくれていたんですね。

とても勉強になるこぼれ話でした。

 

ちなみに、「結婚前には両目を大きく開いて……」が結婚式の定番スピーチと紹介されていた件。

こんなスピーチ、私は聞いたことないです。

 

三つの袋の話なら知ってます。

でも生で聞いたことはないです。

あれ、実際に話す人いるんでしょうか?

もしいたとしたら、その人、逆に凄いと思います。

私には絶対できないです。

 


 

星野源の楽曲制作秘話

「そして生活はつづく」

著者:星野源

発売:2013年

 

ミュージシャンで俳優の星野源

本もたくさん出していて、文筆家として紹介されることも。

 

そんな同氏の初めての書籍が本作(たぶん)。

 

エッセイ。

 

しかし、有名タレントが書く、よくある爽やかなテイストのそれとはまったく違いました。

 

だらしの無い生活をさらけ出し、下世話な話も遠慮なし。

 

かっこつけずに自然体で、私的にはゆるく楽しめましたが、星野源新垣結衣の旦那でしょ? なんかいいよねあの人、ってくらいの人が読むと刺激が強すぎるかもしれません。

星野源に詳しくなくても、同氏の名前を聞いて大人計画やANNが連想される人にはそこそこおすすめできる一冊って感じです。

 

そんな本作からのこぼれ話はこちら。

ミュージシャンとして多方面から高い評価を得ている同氏の楽曲制作秘話。

 

サケロックというバンドの曲を作っているときの話。

 

かなり煮詰まっていたそうで、二番以降の歌詞がまったく浮かばず。

深夜までノートに書いては消してを繰り返し、そしていつの間にか寝てしまったそうです。

 

しかし、朝、はっと目が覚めてノートを見ると、なんと歌詞がまるまる出来上がっていたとか。

 

本人に書いた記憶はない。

でもデタラメな内容ではなく、歌詞としてちゃんと成立していたそうで、結局そのまま採用。

 

昔「BECK」というバンドものの漫画があって、当時かなり熱中して読んでいました。

そのなかで、ポール・マッカートニーは名曲「イエスタデイ」を夢の中で作曲したというエピソードが。

 

星野源、まるでポールのようなエピソードじゃないか!

 

……と感動したのも束の間。

その夢の中で歌詞を書いた曲というのが「昭和報われない音頭」。

 

なにそれ。

 

サブスクで検索すると出てきました。

 

なにこの曲。

ふざけてる。

 

ちゃんと聞いてないけど、わかる、ふざけているのだけはわかる。

 

一瞬でも「イエスタデイ」と並べてしまった私自身が恥ずかしい。

心のなかでポールに謝罪しました。

 

気になった方は、ぜひ聞いてみてね。

 

とまぁ、最後は本書のテイストを意識して書いてみました。

こんな感じの文体がお好みの方はぜひ読んでみてください。

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(番外編)チバユウスケ伝説

私がなぜ、本で得た情報を元にこのような雑学紹介ブログをやっているのか?

 

本などの出版物には、情報の確度がある程度保証されているからです。

 

二十代後半でバンドを辞め、それから今現在の仕事に落ち着くまで職を転々としていました。

 

少しだけ広告代理店で働いた経験があります。

そこでは自社が発行するフリーペーパーを担当していました。

クライアントと掲載内容について打ち合わせをして、それをもとに担当者である私が文章に起こすのですが、その原稿には自社のチェック担当者が目を通していました。

 

誇大な表現はないか?

内容に嘘はないか……などなど。

 

フリーペーパーでも厳正にチェックされていたので、本や雑誌などの出版物はさぞもっとチェックが厳しいんじゃないか、そんな風に思っているわけです(こんな言い方だとフリーペーパーを下に見ているみたいですね、そんな意図は決してありませんので悪しからず)。

 

読書ペースは、今の私の生活スタイルでは月に4〜5冊程度。

1冊読めば必ずこぼれ話に出会えるという訳ではないので、ブログの更新頻度を上げる為にはこのやり方はとても効率が悪いです。

 

そして、私は常にブログ用記事のストックを1つ以上は持っておきたいタイプ。

 

正直に申し上げて、現在ストックがなくなってしましました。

とても不安を感じています。

 

さて、どうしよう。

 

というわけで、今回は番外編と題して、ラジオで聞いたとあるこぼれ話を紹介させてください。

 

ELLEGARDEN細美武士、細美さんがとても好きです。

細美さんがbayfmで長年パーソナリティを務めている番組「ヘッジホッグダイヤリーズ」を毎週楽しみにしています。

 

ラジコや、最近はポッドキャストでも聴けるようになりました!

 

リスナーからのお便りに細美さんが丁寧に回答していくというのが大筋の流れですが、たまに弾き語りをやったり、他にもよそでは聞けないような話がもりだくさんでファンにはたまらない番組です。

 

元ミッシェルガンエレファントでバースデーのチバユウスケさんが昨年亡くなられました。

影響を受けたど真ん中の世代です。

ニュースで訃報を知った時、本当に時間が止まった感覚でした。

信じられなかった。

 

そんなニュースが日本のロックファンの間を駆け巡っていた当時、「ヘッジホッグ・ダイヤリーズ」でもチバさんの話題になりました。

 

細美さんはチバさんとお付き合いがあったそうで、打ち上げの話や、チバさんに時計をもらった話など、とても貴重な話を聞く事ができました。

 

そんななか、チバさんのとある伝説の真意についても語られる場面が……

 

チバさんのデビュー前の話。

 

レーベル関係者などを集めた、いわゆるコンペンションみたいなものでライブをしたミッシェルガンエレファント。

チバさんはライブ後、集まった関係者たちに向けて「日本のロックをダメにしたのはお前らだ!」みたいな事を言ってのけたそうです!

 

うわー!

まじかっけー!

 

細美さんは、元ミッシェルガンエレファントのウエノコウジさんと一緒にtheHIATUSというバンドをやっています。

ウエノさんに聞いた話だから間違いないと細美さんは言っていました。

 

チバさん。

デビュー前のそんなシチュエーションでこんなことが言えるなんて……

 

チバさんのようなアーティストはもう出てこないですよ。

当分出てこないと思います。

 

日本最高のロックスターのひとりです。

これからも大好きです。

ずっとずっと聴き続けます。

 

ちなみに私は、ミッシェル・ガン・エレファントでは「キア・ブルース」というアルバムが好きです。

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井出らっきょ伝説

「バカ論」

著者:ビートたけし

発売:2017年

 

ビートたけし

北野武

 

私はコメディアンとしての全盛期を知らない世代です。

幼少期にかろうじて「元気が出るテレビ」を見た事がある程度。

 

映画監督として世界中から評価されるニュースなんかはずっと見続けていたので、文化人という印象はとても強いです。

 

映画はだいたい見ましたね。

キッズ・リターン」という作品が好きです。

邦画史に残る素晴らしいラストシーンだと思います。

 

たくさん本も書かれていますね。

しかし私はこれまで一冊も読んだ事がありませんでした。

これが初めて。

 

いや〜、本当に面白かったです。

最初から最後まで毒舌。

世の中のバカを斬りまくるエッセイです。

 

また、明石家さんまさんについて語ったり、一人称が「おいら」の理由についても解説されていたりと、こぼれ話もたくさんあった本書。

その中から私のブログではこちらを紹介しようと思います。

 

題して「井出らっきょ伝説」。

 

テレビ番組のロケでパプアニューギニアに行った井出らっきょさん。

奥地に住む部族と一ヶ月一緒に暮らす、という内容だったそうです。

 

そのとき、その部族の十八歳の娘と仲良くなって、一発やっちゃったそうです笑

 

井出らっきょさんと聞いて頭に浮かぶ姿は上半身裸。

頭はスキンヘッドですから、まんま部族に溶け込めそうなお姿。

肌はちょっと白い気もしますが……

 

パプアニューギニアの部族がどんな姿なのかはわかりませんが、らっきょさんならなんだかいける気がします笑

 

初めて聞く種類の話。

とてもインパクト強くて好きでした。

 

井出らっきょさん、最近見ないですね。

同じたけし軍団だと、玉袋筋太郎さんの「街中華で飲ろうぜ」って番組はたまに見てます。

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チューリップの球根ひとつで家が買える!?

「ジェイソン流 お金の増やし方」

著者:厚切りジェイソン

発売:2021年

 

アメリカ出身、芸人でもありIT企業の役員でもある厚切りジェイソン氏。

本書は同氏のお金に対する考え方、特に資産運用について書かれた一冊です。

 

多くの本屋さんで目立つところに平積みされています。

新NISAがスタートし、投資に関心が高まっている現在。

本書では投資信託のつみたて・ほったらかし投資の魅力について特に語られています。

 

私はどちらかと言うと個別投資に興味があり現在絶賛勉強中なので、期待していた内容と少し違っていました。

しかし、同氏の節約話はなかなか面白くて読み応えがありましたね。

 

そんな本書からのこぼれ話は、400年ほど前のオランダでおこったチューリップバブルについて。

 

当時のオランダは特に経済が発達していて、投資も盛んに行われていたそうです。

そんな中、収集家や貴族の間で珍しいチューリップの球根が人気となり、やがて高値で取引されるようになったとか。

この人気は一般の人たちにも広がり、やがて家が買えるほどの高値を付ける球根もあったそうです。

 

しかし、チューリップの球根自体に実際にはそのような価値はありませんよね。

これは「どうやら儲かるらしい」という心理が働いた結果です。

だからそのバブルはやがて弾けて、結果多くの人は多額の債務を抱える事になりました。

 

本書では、ビットコインの人気もチューリップバブルのようなものではないかと書かれていました。

 

ビットコイン

作った人が謎に包まれていたり、とても興味深い世界ですよね

 

誰が作ったのか?

謎の人物、サトシ・ナカモト。

 

私は、ファイル共有ソフトウィニーを作ったプログラマー金子勇氏説が好きです。

 

しかしこれは日本でのみ語られている説。

海外では、暗号学に精通したコンピューター科学者のハル・フィニー氏が最有力と、NHKの特別番組では紹介されていました。

 

最後は全然違う話に飛んでしまいましたね。

大変失礼いたしました。

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イルカを食べる国があるって知ってますか?

シー・シェパードの正体」

著者:佐々木正

発売:2010年

 

アメリカの環境保護団体、シー・シェパード

日本の調査捕鯨活動を妨害する団体としてニュースで見聞きした事がある方も多いはず。

 

捕鯨は違法ではない。

違法でないものを妨害する同団体は悪だ、本書はそういった目線で書かれているように感じました。

 

鯨やアザラシなど海洋生物の保護活動を行っているのですが、確かにそのやり方はとても過激。

船を爆破させた事もあるそうで、メンバー内には逮捕者も多数。

エコテロリストと呼ばれる事もあるそうです。

 

動物愛護の精神からヴィーガンを実践している人たち。

少なからずその気持ちを理解できる私としては、同団体の活動を完全に悪い事だとはどうしても思えない部分もありまして……

 

要は、シー・シェパードという団体をネガティブに解説した本と理解していただければ、著者の意向ともだいたい合っていると思います。

つまり、ポジティブに解説すれば見え方はかなり変わってくる団体、活動内容だと私は思っただけです。

 

念のため言っておきますが、同団体の活動内容について、私は決して擁護派ではないです。

ただ、著者の目線が偏り過ぎていると感じただけです。

本書だけでは、同団体の本質を理解することは難しい、そういう事です。

 

そんな本書からのこぼれ話、これは本当にびっくりしました。

 

タイトルにもありますが、あなたはイルカを食べる国がある事をご存知でしたか?

それは、ここ、日本なんです。

 

昔の話ではないです。

 

和歌山県太地町では、現在もイルカ漁が行われています。

その方法は追い込み漁と呼ばれるもの。

湾内でイルカの群れを一箇所に追い込み、そこで刃物を使って仕留めます。

その際、海は真っ赤に染まるそうです。

 

シー・シェパードは、以前この漁を行っていた長崎県壱岐島で妨害活動等を行い、結果的に漁をやめさせています。

 

2010年にアカデミー賞を受賞した「ザ・コーヴ」というドキュメント映画は、太地町のイルカ漁を扱ったものでした。

そんな作品があることすら私は知りませんでした。

 

イルカは人間と仲の良い動物だと思います。

そのイルカを食べる文化が日本にあったなんて……

 

ちなみに、世界から見るとタコを食べるのも驚かれるそうです。

日本ではとてもメジャーな食べ物ですが、世界では悪魔の食べ物とか、タコを食べるなんて日本人はグロテスクだなーとか思われているそうですよ。