「怒るヒント」
著者:ひろさちや
発売:2011年
日本人は怒らない。
怒ったとしても、宗教じゃなく道徳で怒るからたちが悪い。
道徳というのは目上の人が目下の人を縛るものだ、そう本書では紹介されています。
例えば……
学校では、子どもに対して「怒るな!」と先生が子どもに怒っている。
なんじゃそりゃ。
これは会社の上司部下の関係でも当てはまる例は多く、要は日本社会は怒る権利を持っている人間とそうじゃない人間に分けている、というんですね。
一方アメリカでは、上は怒っていいけど下は怒っちゃだめなんて発想はない。
マグナカルタやフランス革命など、日本人も世界の国々のようにもっと怒っていいんだよと。
本書ではそういうメッセージをわりとポップに書いていて、結構ライトに読める新書だと思いました。
そんな一冊にもありましたよ、こぼれ話。
仏像はなぜ薄目なのか?
確かに、仏像や仏画に描かれる仏さまって、目を見開いていないです。
言われてみれば目を見開いている仏さまって、見たことないかも。
これは、あきらめることの大切さを表現しているそうなんです。
例えば、昼間の明るい太陽の下なら、どんな美人の肌でも汚く見えるかもしれません。
でも、夜などぼんやりした状況だとあらが目立たず綺麗に見えるはずです。
要するに、人の欠点を見ることなく、薄らぼんやり見ることがあきらめることであるとか。
あきらめるを、明らめると書けば、人の欠点を見ないことは、物事を明らめること、物事を明らかにすること、こうなるわけです。
すべてを見る必要なんてないんですね。
全部知る必要なんてない。
それが真理ではないかと、そういうこと。
「結婚前には両目を大きく開いて見よ。結婚してからは片目を閉じよ」という結婚式で使われる定番スピーチがあるそうです。
少しくらい難点は許してあげようってことですね。
人間、そのくらいがちょうどいいんだと思います。
仏さまはそれをいつも私たちに教えてくれていたんですね。
とても勉強になるこぼれ話でした。
ちなみに、「結婚前には両目を大きく開いて……」が結婚式の定番スピーチと紹介されていた件。
こんなスピーチ、私は聞いたことないです。
三つの袋の話なら知ってます。
でも生で聞いたことはないです。
あれ、実際に話す人いるんでしょうか?
もしいたとしたら、その人、逆に凄いと思います。
私には絶対できないです。
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